スイス・チューリッヒに本拠を置く貴金属保管会社 Von Greyerz AG の創業者、エゴン・フォン・グライアーツが 2026年4月、自身の Substack ニュースレターで「ゴールドの永久的な再評価」が始まったと宣言した。論理は単純だが圧倒的で、検算しても反論しにくい。

「残り1-2%」の論理

Greyerz: 1913年の Fed 設立以降、ドルは99%、1971年のニクソンショック以降は98%の価値を失った。残りの1-2%は今後数年で失われる。

これはレトリックではなく、購買力を金で測ったときの実数値。1971年に金1オンス = 35ドルだったのが、2026年には4,000ドル超え。ドル建てで100倍上がったということは、ドルの価値が金に対して 99%下落 したということ。

「残り1-2%」というのは、ドルの絶対価値がゼロに収束するという意味。これが「今後数年で起きる」というのが Greyerz の予想。

「絶対価値」vs「相対価値」の罠

Greyerz が2026年に繰り返し強調するのが、通貨を他通貨ではなく金で測れという主張:

Greyerz: 2026年のドルの「他通貨比の強さ・弱さ」は、ノイズに過ぎない。すべての紙幣が金に対して購買力を失っている。

ドル円が一時的に円高になっても、ドル=強い・円=弱いを意味しない。両方とも金に対して下落している中で、相対的にドルがやや弱いだけ。真のベンチマークは金、というのが Greyerz の世界観。

中央銀行の金買い

Greyerz が裏付け要因として挙げるのが、中央銀行のゴールド購入加速:

  • 2022-2025年:BRICS諸国・中東諸国がドル離れを開始
  • 2026年:年間 1,500トン超のペースで世界の中央銀行が金を購入
  • 米国・欧州の中央銀行はまだ「金売り」を続けているが、いずれ転換する可能性

つまりドル離れ → 金集中という構造が既に動いている。これは「個人投資家がいなくとも金は上がる」状況を示す。

価格予測の更新

Greyerz は長年「金は最低でも $10,000」と言ってきた。2026年の Substack 投稿では、これを上方修正:

Greyerz: 数年内に最低 $10,000、購買力ベースで見ればもっと上の可能性。

「購買力ベース」というのは、ドルの絶対価値下落を考慮した実質金価格のこと。仮にドル価値が98% → 99.5% に下がれば、金の名目価格は今の数倍を超える可能性がある、というロジック。

銀(シルバー)への言及

Greyerz は金単独ではなく、銀との組み合わせを推奨する:

  • 金/銀比率:歴史的平均15-20倍に対し、現在 80倍前後
  • 銀の上昇余地:金の上昇に対する歴史的「キャッチアップ」が起きると、銀は数倍速で上昇しうる
  • リスク:銀は工業用途も大きいため、景気後退時には金より下落しやすい

Voicestack の視点

Greyerz の主張は「ドルが完全にゼロになる」という極端なシナリオで、必ずしも実現するとは限らない。しかし重要なのは、シナリオの方向性が正しいかどうか。

過去50年のドル購買力下落(98%)は事実。中央銀行の金買い加速も事実。これらが続く限り、ゴールドへの部分的な配分(5-15%)はリスク管理として合理的、というのが多くのマクロ識者の一致見解になりつつある。

Greyerz の予測の数字を取るかどうかは別として、方向性は Dalio・Gundlach とも整合している点が重要。


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