スイスの貴金属保管会社 Von Greyerz のパートナーで、長年 GoldMoney のリサーチ責任者を務めたアラスター・マクラウドが 2026年4月、自身の Substack で「シルバーの強制買い局面が来る」と警告した。中核にあるのは、東西の銀市場の価格乖離。
Shanghai vs COMEX
マクラウドの分析の出発点は、銀価格のグローバル不整合:
Shanghai 現物価格:高プレミアム(西側比 +5-7%)
COMEX(NY 先物):基準価格
London LBMA 銀庫:枯渇傾向
通常、グローバル銀市場は裁定取引で価格が収斂する。だが2026年に入って、Shanghai のプレミアムが構造的に維持されている。これは、東側で現物銀が「抜けて行っている」ことを意味する。
Macleod: COMEX と London の銀庫が空になり、ペーパー市場が現物のバックを失う日が近づいている。
4つの需要要因
マクラウドが挙げる、アジアからの構造的銀需要:
1. インドの伝統的銀需要 インドは銀の消費大国。結婚式・宗教行事・装飾品需要が安定的に存在。2026年は人口増 + 中産階級拡大で需要が加速。
2. 中国の戦略的買い 中国政府が公式・非公式に銀を備蓄。ドル離脱の文脈で「ゴールドだけでなくシルバーも」を進めている。
3. 太陽光パネル需要 PV パネルは銀を必要とする。中国・インドの再生可能エネルギー投資加速で工業需要が急増。
4. ETF・現物投資需要 シルバー ETF(SLV 等)への資金流入が継続。ただし「ペーパー ETF」が実物の銀をバックに持たない場合、流入が増えるほど現物需給は逼迫する。
「強制買い」イベントの予兆
マクラウドが警告する**「forced buying event」**とは:
- COMEX 銀先物の保有者が、現物デリバリーを要求
- 銀庫が枯渇していて納入できない
- 先物決済不能 → 価格急騰
- 連鎖的に他の保有者もデリバリー要求
- 銀価格が短期間で数倍に跳ね上がる
これは 1980年の Hunt 兄弟による銀買い占めや、2021年の “Silver Squeeze” の延長線上にある。マクラウドは2026年に「規模が前例ない」とコメントしている。
CBDC・ビットコイン批判
マクラウドはこの文脈で、CBDC(中央銀行デジタル通貨)とビットコインを 「信用バック無しの紙幣の延長」 と否定する:
Macleod: CBDC とビットコインは、不換通貨の電子版に過ぎない。実物のバックを持たない限り、価値の保存にならない。
これは Greyerz の主張と一致しており、Von Greyerz グループとして一貫した世界観を示している。
投資家への提案
マクラウドの 2026年のアロケーション提案:
✅ 推奨:
- 物理銀(コイン・バー):保管会社経由で本人名義
- ゴールド:同じく物理保有を推奨
- 銀採掘株:物理銀の補完として
- 中国・インドの銀需要関連株:太陽光パネル等
❌ 避ける:
- シルバー ETF(特に裏付けの不透明なもの)
- シルバー先物(強制ロールでコスト発生)
- CBDC や仮想通貨(規制リスク・流動性リスク)
Voicestack の視点
マクラウドの警告は、過去にも「Silver Squeeze」の名で何度か起きた現象の延長線。毎回完全には実現しないが、毎回現物市場の構造的タイト化を示してきた。
2026年の特徴は、(1) 中国の戦略的買い、(2) インドの伝統需要、(3) 太陽光の工業需要、の3要素が同時に動いていること。少なくとも構造的供給逼迫は事実。
「Silver Squeeze」が起きるかは別として、銀価格の上昇圧力は構造的に強い。金/銀比率(現在 80倍)が歴史的平均(15-20倍)に近づくシナリオは、長期的には合理的。Greyerz も同じ結論。
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